導き手
週末の朝、つらつらと寝ぼけ眼の
私の耳に入ってきたラジオ。

それは何かの短編の朗読でした。

「わたし」と親友「しーちゃん」の
物語。

クラスの落ちこぼれだった親友の
「しーちゃん」は突然病魔に襲われ
旅立ってゆく。

ふさぎがちだった「わたし」を
両親が連れていった山で幼い弟が
石に頭をぶつけて意識不明に。

病院へ急ごうとするも道は渋滞で
車は動かない。

「弟を助けて下さい。」

懸命に心の中で「しーちゃん」に祈る
「わたし」。

と、そこに現れたのは一台の白バイ。
病院まで先導してくれたおかげ
で弟は急死に一生を得る。

最後にヘルメットを脱いだその顔は
紛れもなく「しーちゃん」で、
いつの間にかその姿は消えてしまって
いた。

そう、「しーちゃん」の夢は大人に
なったら白バイになることだった。

こうして大人になった弟は白バイに。
「わたし」は医者になった。

というようなお話。

「導き手」

いつしか引き込まれるようにこの話に
しみじみと聞き入っていた私の心に
浮かんだのはこの言葉でした。

「しーちゃん」は、この世には
いないけれど「わたし」と弟の導き手
となって心の中にいつまでも生きて
いる。

私の頭はいつしか、そのつい数日前に、
巌さんの個展に来てくれた友人が
語ってくれた話に飛んでいました。

自分が今、ピアノと共にある人生を
送れるのは幼い頃に出会った先生の
おかげなのだと。

今は亡きそのおじいちゃん先生が
私にいろいろなことを教えてくれた。

音楽のこと
美術のこと
ピアノを弾く喜び。。

私にとって器の原点が巌さんのように
彼女のピアノの隣にはその先生がいる。

一時中断していたピアノのレッスンも
再開したのだと嬉しそうに話して
くれました。

離れていても還る場所があること。
私たちをそこへと導いてくれる存在。

巌さんも先生ももうこの世にはいない
けれど、いつもその気配を感じながら
私たちは生きている。

自分の親みたいな大切な存在。

…なんてことをとりとめもなく
つらつらと考えていたらなんだか
心の奥がキューンと痛くなって
きました。

思いがけずラジオから流れてきた
物語。

またいつかの週末に
今度は別のお話を
きっと聴く機会があるでしょう。

その時を楽しみに。








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