新制作展にて



今日は、国立新美術館で開催されて
いる「第78回新制作展」へ行って
きました。
そこで、毎年出品されている彫刻家・
雨宮透さんに久しぶりにお目にかかり
ました。




雨宮透さんといえば…そうです!
去年の11月にギャラリーKAIで
個展をして戴きました。

個展の様子はこちらから 

「暮らしの中に彫刻を」

この私の思いを受けとめて下さり、
KAIに作品を展示させて戴いた
ことが昨日のことのように思い出
されます。

実は、雨宮さん、昨年より取り組まれて
いた新作の大きな作品が、一段落ついた
ところで新制作展に向けての製作と重な
り、さぞお疲れなのでは・・・と
思いきや・・あの、とびっきり優しい
笑顔で迎えて下さいました。

今年の新作はこちらです。



以前、雨宮さんは、彫刻の量感を無く
し、どんどん消えてゆく作品を作りたい
とおっしゃっていました。
確かに去年の作品と比べるとより薄く、
どんどんその存在を小さく小さくして
いるように見えます。

ただ、それは存在感が無いということ
では決してなく重量感たっぷりで、
主張の激しい他の作品群の中で、
その静謐感は逆にとても際立って
いました。

ありたけのものをそぎ落としたところに
人間のあらゆる感情が宿る。。

ふと先日見た能面と重なりましたが、
能面はあくまで「能」という楽劇の中に
おける要として役者が魂を込めるものと
するならば、彫刻は作者の奥底にある
思いが込められたもの・・・。

雨宮さんの「いま」が凝縮した彫刻に
見る人は自分を重ね、映してみる。

芸術作品の在り様は、即ち自分の
在り様なのでは・・
などと色々な思いが巡り巡るのでした。

来春は、雨宮さんの大作が完成し、
大分でお披露目されます。

また追ってこちらでご報告して
いきますね。





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南部鉄器、再び。
個展準備の合間を縫って南部鉄器を観てきました。

400年以上も続いている伝統的工芸品の逸品も素晴らしいけれど、内田繁氏による茶室や堀井和子さんによる食卓のスタイリングで提案されている南部鉄器の「いま」がとても素敵でした。

欲しい。。。!

最近ではフランスやベルギーのティーサロンでティーポットとしてカラフルな南部鉄器が人気なんだとか。

足下はとかく見えないものだから
こうやって、日本固有の手仕事の価値が逆輸入されるのは良いことですね。

もう随分昔、就職して間もない頃に
友人と盛岡を旅して立ち寄った
南部鉄器のお店で狂喜乱舞した頃を思い出します。
その時買い求めた茶托を久しぶりに
取り出してみた。
いけない、いけない。
箪笥の肥やし化してました。
今、見てもあの時、半ば熱に
浮かされて買った時のワクワク感が
甦る。
やっぱり好きだなあ。
私の鉄好きは今にはじまったことでは
なかったことに今さらながら気がつく私です。



そうしたら、とある友人からその同じ日に一枚の絵葉書が届きました。

図柄は、あら、偶然!
惚れ惚れするような
糸目の茶釜の写真でした。
こんなシンクロが無性に嬉しい。

メイド・イン・ジャパン 南部鉄器
パナソニック汐留ミュージアム
3月23日まで
水曜日がお休みなのでご注意を。
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「日本の70年代」観てきました

この週末、えいや!とばかり久しぶりに段ボールのお山から
抜け出して美術館に行ってきました!



埼玉県立近代美術館 「日本の70年代」1968−1982
当美術館が開館した82年までの15年間を美術、デザイン、建築、写真、
演劇、音楽、漫画などで振り返るという試み。

当時のポスターや雑誌、レコードジャケット満載。
思わず前のめりになって観てしまいましたよ。

私は行ったことのないあの万博会場の「せんい館」がすごいのだ。
四谷シモン氏作ルネ・マグリットおじさんが何人も並んでいたり・・!

ananの創刊号なんていうのもありましたし、当時の美大へ通う学生の
部屋を再現しているコーナーもあって面白かったです。

しかし、70年代って、とんがってたんですね〜。
でも決してそれは独りよがりなんかではなくて
外に外に向かっていて。
幾つもの才能と情熱がこれでもかとジャンルを超えて混じり合い、
今から見ると何ともまぶしい時代のように思えます。

これが80年代になると毒気満載の70年代のあとではなんとも
薄いコーヒーを飲まされているようで・・・。

企業や百貨店のコピーに時には「うまいこと言う!」なんて
思うこともあるのにね。

私がまだ小さくて無邪気にしていたころ、
外では大人たちが懸命に主張し、守ろうとしていた・・・
この温度差がなんか不思議でした。

さて・・・・
3.11を経た今、あの70年代のアーチストたちは
今どうしているんだろう・・、既に暗くなった道を
そんなことを思いながら帰途についたのでした。

余談:
この埼玉県立近代美術館、初めて行きましたが
北浦和公園の木々の間を抜けたところにありとても良い感じでした。
去年訪れた上海の人民公園の中にある上海現代美術館と
ロケーションといい、建物といい、人々が集う感じといい
とてもよく似ていて、上海みたーい!!と二人で盛り上がってしまった。



ちなみに設計は黒川紀章氏です。

11/11(日)まで。よろしければ週末にどうぞ。

ちょっと熱かった!?わが青春時代にも通じるものを
思い出すかもしれません。

 

 

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