久しぶりの再会




 
うららかに春めく土曜日。
 
久しぶりにご近所のお宅にお伺いしました。
 
集合住宅のモデルハウスやインテリアを
手掛けている彼女の家は、いつでも
ため息が出るほど美しく整頓されています。

 
円卓のテーブルには白の大輪の百合が生けられ、
リビングから眺められるお庭には
早くも新緑の季節を漂わせるプランターの数々。

 
そこに交じって春の陽ざしに透けるローズピンクの
シクラメンが眩しい。

 
部屋の壁には、湿度をうまい具合に調整する
材質が使われているせいか、どこか森林を思わせる
清浄な空気が流れています。

 
「最近ね、鉄瓶を買ったのよ。これで淹れた
 お茶はまろやかで美味しいから飲んでいって。」

 
といって、出して下さる。
 
「あなたのところのこのお茶碗がこのお茶に
 ぴったりなのよ。」

 
そう、この汲み出しは、戸田文浩さんの個展で
気に入って注文して下さったものでした。

 
あれから、もう何年?
 
こなれた粉引の肌合いが、
ふくよかな年月を物語っていて
私はとても嬉しくなりました。

 
こんな瞬間は、器屋冥利に尽きる時。
 
香ばしいほうじ茶が美味しくて
たくさん戴いたうえに、関西風
おうどんまでご馳走になり
とても幸せな週末の始まりでした。

 
皆さんも佳きお休みを。
| gallerykai | 戸田文浩さん | 09:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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ぺたぺた焼き




一番美味しかったものは
何だったかなと、この頃、時々
考えます。

(・・・私もヒマだなあ。。。)

印象に残った味。
食べたことないもの。

食卓を一緒に囲んでいた人や
その情景。

その一皿が自分の目の前に
やってくるまでのストーリー。

そんなことをつらつらと思っていた時に
浮かんだのが

「ぺたぺた焼き」。

これは義理の父の手料理です。

「父の手料理」!

ああ、何と魅惑的な響きでしょう。

私の実の父親の方は、自分でお茶すら
淹れたことがないような人でしたから
「おとうさんの手料理」が食べられるなんて、
私にとっては、とてもファンタスティックな
ことなんです。

そう、義理の父・・・ミツノブさんは、会う度に
何かしら新しいトピックのある人で
その辺も私の父とは正反対。

ここ数年の間、圧巻だったのは、
親類間の土地の権利相続の、素人では
手に負えない一切の手続きを、半年間もの間、
週に一度、法務局に通い、全て自力でこなしたことです。

その根気、チャレンジ精神には
本当に頭が下がりました。
いやもう感動的ですらありました。

そんなミツノブさんですから、パソコンは早々に
仕事に導入していましたし、スキルも年々アップして、
ついに今年の年賀状のデザイン、印刷もこなしていました。

「みてみてみて〜〜〜」

と、その年賀状を見せてくれた時の顔といったら
もう、子供のように瞳がキラキラしていました。

で、その「ぺたぺた焼き」とは
どんなものかといいますと、

ぎょうざを平たくして一口サイズにしたような
もので、中の具にたっぷり使ったニラがポイント。

具を、小さく切った春巻きの皮に包んだら
フライパンにぎっしり並べて焼く。

これが美味しいんです。

揚げ焼きに近い皮はパリっと香ばしく
具のお肉のジューシーさとニラの香味が効いて
ビールに相性抜群の味です。

冷めても美味しいからお弁当やパーティメニューにも
いいですねー。

お正月の席で、どれも似たりよったりの
甘辛系おせち料理に少々飽きがきていた連中
にとっては、この「ぺたぺた焼き」は、B級
グルメばりの異彩を放ち、待ってましたとばかり、
皆の手が伸びる伸びる。

たちまちお皿が空になりました。

正式な料理名は別にあるらしいのですが、
ミツノブさんが勝手に命名してしまったこの方が
なんだか父らしくて好きです。

去年、区が開催した男性(高齢者)向け料理教室に
通い、実習した料理の中から自分が気に入ったものを、
家で作るうちに何品かが得意料理となり、
そのうちの一品が「ぺたぺた焼き」というわけです。

ミツノブさんは、きちんと自己管理も出来る人で
適正体重も保っていますし、せっせと髪の毛も
黒く染めていますから、大抵、10歳は若くみられます。

でも、その若さは外見だけのものでは
ないことはその暮らしぶりを見ても伝わってきます。

朝起きると、まず部屋とトイレを掃除することを日課としており
朝一番に掃除をすると自分自身も清められるような気がして、
その日一日を気持ちよく過ごせるのだといいます。

ここでも頭が下がりっぱなしです。

また、最近朝食の一品に加えたというのが
「大根おろし」。

年を重ねてくると、胃の消化力が弱まってくるから
消化を促す効き目のある大根を毎朝摂ることにしたそう。

ああ、まるで主婦の鏡のようです。

薬を飲むより余程良いからね

と、いつもの茶目っ気たっぷりな笑顔で
話してくれました。

朝の掃除は始めてここ4、5年くらい。

大根おろしに至っては数か月前に
始まった新しい習慣です。

頭が柔らかいといいますか
自分の経験してきたことに固執しないといいますか

めんどうくさがらずに
新しい扉を軽々と、かつ、いつも頗る明るく
開けちゃうのです。

そう、とっても、明るいんだなあ。

そして会うと、いつも嬉しそうに話をしてくれる。

80歳を過ぎて尚、チャレンジャー。

本人はチャレンジしているという気はないかも
しれないけれどね。

きっとそれが普通のことだから。

仕事でも
日常生活の些細なことでも。

これが究極のアンチエイジングですね、

そういえば、ミツノブさんの口から

「もう年だからね」という言葉を
ついぞ聞いたことがないような気がします。

この言葉を発した瞬間から
老いは始まるのかもとちょっと反省。

子供たちも見習いませんと。

なんせ往々にしていつも疲れているのは
息子や娘たちのほうですからね〜。

元気な高齢者は社会を明るく照らし出す。

そういう老人を私も目指そう!

ミツノブさんの手料理第一号に
ありがとう。

PS:

この「ぺたぺた焼き」が盛り付けられて
出てきたのが粉引の大皿。

戸田文浩さん作。

2年前のギャラリーの個展で
気に入って購入してくれたものでした。

焼きあがった時、間髪入れず母が用意していたから、
いつも盛り付けているに違いありません。

嬉しくなって聞いてみると、カレーの時も定番だとか。

「粉引」といえど戸田さんの器は食べ物が滲みないように
工夫をされているから、気兼ねなく使えるのです。

こうしてちゃんと使っていてくれている。。

ミツノブさんの「ぺたぺた焼き」には、「エール」も
込められています。

*戸田文浩作 8寸リム皿*
| gallerykai | 戸田文浩さん | 21:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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所沢にて
先週の話ですが…
所沢で築80年の古い家を手に入れた
友人のお披露目会に行ってきました。



先月まで住んでいた前の方の名残
なのか、初めて訪れた私もどこか
懐かしい。

各部屋を案内してもらっているうちに
いつしか広島の田舎の祖父母の家の
遠い記憶を辿っていたのかも
しれません。



前の住人が残していったものも絵に
なっています。





それにしても、マンション暮らしが長い
私の生活スタイルには無いサッシの幅
とか、押入れの奥行きなどは新鮮です。
そういうところも多くの人が古民家に
惹きつけられる要素かもしれません。

相当蒸し暑い日でしたが、風が通って
とても気持ちいい。
日本家屋の心地良さは夏だからこそ!
ゴロンとお昼寝は和室に限りますね。
ここで、始まる新たな試みを楽しみに
待つことにいたしましょう。

もうひとつ、嬉しいサプライズ!
所沢在住の陶芸家、戸田文浩さんと
バッタリ。
そもそもその友人と知り合ったのは
戸田さんの個展に来て下さったのが
きっかけでした。

帰りにお宅にお邪魔して久しぶりに色々なお話ができました。
淹れて下さったコーヒーは去年の個展の
時と同じ味わい。
思えばこの味体験から私もコーヒーを
自分で淹れるようになったのでした。

戸田さん、ご馳走さまでした。
次なる展開を楽しみに?





| gallerykai | 戸田文浩さん | 11:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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いよいよ
いよいよ今年も残すところあと僅かです。。
が、私の周囲ではほんとにお正月!?との声が圧倒的で、
先ほどお電話でお話していた信楽の巌陶房さんも年末という気がぜんぜんしませーん 
とおっしゃっておりました。
都会も陶芸の里も同じ気がどうやら流れているようです。

加えて、私なぞはお三時にクリスマスにと奈良の友人が送ってくれたシュト―レンを
いまだに食べているものだから・・・。
おいしい〜〜。。。


 
そんな中、戸田さんがご注文品を納品してくださいました。
ギャラリーKAI今年ラストの納品です。
大変な状況の中、年内に仕上げて下さった戸田さんには感謝、感謝です。

今年は東京の生活に本格的に復帰し、やっと地に足が着きました。と、
同時に新しい扉も開かれたような。
一年を振り返りつつ、新たなる年に思いを馳せて・・・
そろそろお正月の準備に取り掛かることにいたしましょう!

| gallerykai | 戸田文浩さん | 14:28 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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お茶するうつわ展開催中です。



25日から戸田文浩さんの個展「お茶するうつわ展」が始まりました。

初日と2日目は戸田さんも在廊し、お気に入りのコーヒーと地元狭山茶の生茶を
淹れてくださりお客様と緩やかなお茶の時間を楽しみました。

戸田さんの静謐であたたかみのある器に囲まれたギャラリーでどうぞ皆様もお寛ぎ戴きましたら嬉しいです。











中国茶用の小振りのポットと茶杯です。











こちらは8寸リム皿。






今回の力作。ピッチャーとコーヒードリッパー。




ピッチャーは我が家でも何かと重宝しています。
今回はお花を活けて。





戸田さんコーヒーを淹れるの図。
すっかりギャラリーのキッチンに馴染んで
一体どなたが店主だかわからない状況でした(笑)

6月2日まで開催しています。
ぜひ、お気軽にお立ち寄り戴けましたら嬉しいです。
ご興味のある方はご連絡ください。住所をご連絡いたします。
| gallerykai | 戸田文浩さん | 08:52 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
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お茶するうつわ展始まります。




いよいよ明日から・・あっ、もう日付変わりましたが・・戸田文浩さんの個展「お茶するうつわ展」が
始まります。夕方、納品も無事に完了。すっかりギャラリーは戸田さんのうつわのトーンに染まり、皆様より一足早く私は雰囲気に浸って幸せです。
それぞれのうつわの肌が織りなす微妙な色合いと質感をゆっくり味わって戴きたいと思います。

戸田文浩さんは初日と2日目(5/25,26)在廊します。

| gallerykai | 戸田文浩さん | 23:55 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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5月のギャラリーのお知らせ




 「戸田文浩 お茶するうつわ展」を開催します。

真摯に土と向き合う日々から生まれる戸田さんの
焼き物はシンプルながら豊かな土味に満ち、
これまでの個展でも大変ご好評を戴いてきました。

この度は日頃の暮らしの中でお茶する時間を大切にされている
戸田さんが、お茶をテーマにした器を作ってくださいます。

どうぞお楽しみに。

会期:5/25(土)〜6/2(日)
時間:12時から19時
場所:ギャラリーKAI

アイテム:日本茶、コーヒー、紅茶、中国茶のためのカップ、ポット
     小皿、楕円リム皿、四角皿など。
     また、パスタやワンプレートランチなどに使えるリム皿も
     作成予定です。

DMご希望の方は、メールにてご連絡ください。お送りします。

| gallerykai | 戸田文浩さん | 17:12 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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春のギャラリーは




今日は大寒。
いよいよ寒さの折り返し地点ですが・・・
春はまだまだ遠し。

でも、私の頭の中は少〜しずつ春モードへ。
4月の展示会の準備に入っています。

今年は、所沢市在住の
陶芸家、戸田文浩さんの個展を行います。

先日、工房にお邪魔して打ち合わせを
してまいりました。

これまでも土、釉薬に真摯に向き合いながら、
白陶、柔手、彩陶、レイヤーといった
シリーズが生まれました。

この春はこの中でも特に「彩陶」を軸に新作を
作って下さいます。

また今回は「お茶の時間」が充実する
アイテムがテーマ。

なんといっても戸田さんの器は我が家でも
登場回数が多く、ギャラリーにいらして下さった
お客様にお茶をお出しする時も戸田さんの急須と
お茶碗を愛用していますので、とても楽しみです。


戸田さんとは年齢も近いことから
展示会の話を飛び越えて話題も尽きず、
お茶とお菓子を戴きながら
長いことおしゃべりしてしまいました。



いつも丁寧にコーヒーを淹れてくださり
地元の美味しいケーキをご馳走してくださるのです♪

ああ、もうこのままギャラリーに持っていきたいくらいですね(笑)

どうぞ春をお楽しみに・・・。

余談:ケーキと一緒に出して戴いたこのフォーク、実は我が家にも全く同じものがあるので
    もうびっくり!
    結婚して家を出る時に実家にあったものを貰ってきたもので、結構気に入って 
    毎日、使っています。
    結構古いものと思うのですが、その当時、よく家庭で使われた一般的な
    フォークだったのでしょうかね〜?面白いサプライズでした!

    

 

| gallerykai | 戸田文浩さん | 18:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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戸田文浩さんの個展、終了しました。
23日、戸田さんの個展が無事に終了致しました。
期間中は多くの方が足をお運びくださりどうもありがとうございました。

「今回は自分の思い入れが大きい個展でした。」

と、おっしゃるように、戸田さんの「今」が凝縮された作品展でした。
今後は、「白陶」と「柔手」が両輪のように、お互い刺激しあいながら
展開されてゆくのでしょう。
これからも楽しみですね。

戸田さん、お疲れ様でした!


| gallerykai | 戸田文浩さん | 00:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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春の香り その1
今、お店の1階の入り口のところには、戸田さんの片口に
お花を生けて飾っています。



これは、「リューココリネ」という私の好きな花。
本当は茎が長いので、その飄々とした雰囲気を活かして一輪差しなどに
生けるのがもっぱらなのですが、今度ばかりはえいやっとばかり思い切り短くしてしまった。片口からこぼれんばかりの・・・という風情を少〜しだけ
出したかったのです。
この花はなんとも言えず甘い香りがします。
どうぞ、お店にいらして下さった方はお鼻を寄せてみてください。
一気に春の気分になることウケアイです♪
| gallerykai | 戸田文浩さん | 22:43 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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