再び静嘉堂文庫美術館へ



 
本日、小春日和の東京。
 
再び来てしまったのは
静嘉堂文庫美術館で開催中の
「漆芸名品展」。

 
先週の金曜日に、勉強会と称して
仲間と連れだって訪問したばかりでしたが、
時間切れで泣く泣く帰途に。

 
以来、消化不良でどうにもこうにも
しようがなくて、いざ再訪と相成りました。

 
展示品の筆頭は、近年修理を終えたばかりという
屏風です。

 
描かれているのは、「源氏物語」の
「紅葉賀」の風景。

 
源氏が頭中将と青海波を舞っています。
 
姿こそ見えませんが御簾の奥には、藤壺の中宮。
 
この場面がなんと全て漆で、あらゆる技法を
使って描かれているのですから驚きです。

 
「そぞろ寒くこの世のことともおぼえず」
 
秋風になびくこぼれんばかりの紅葉と菊。

楽の音の賑々しさ。

輝くばかりに美しい光源氏。

 
そして、あの女性への激しくも秘めたる恋が
よりリアルに迫ってくるような気がするのは
漆芸ならではの効果でしょうか。

 
そしてメインの展示室に進むと
日本、中国、朝鮮、そして琉球の逸品が
並んでいます。

 
日本のものは、至芸を尽くした中にも、
季節感に溢れ、優美さと斬新さが絶妙に溶け合い、
作者の遊びゴコロがちらちら顔を覗かせます。

 
暮らしの中で大切に使われてきた息遣いが
伝わってきます。

 
これが中国のものとなると、一転。
 
九頭の九龍がモチーフとなり、息もつかせぬ
迫力で皇帝の絶対的権威を表現するツールといった
感じです。

 
特徴的なのは、漆を何層にも塗り重ねた漆の層に
模様を掘り出す「堆朱」という技法が駆使されていること。

 
5ミリはあるんじゃない。。の?
 
これだけの厚みを出そうと思うと、素人目に見ても
気が狂いそうです。

 
皇帝の命に従い、命を賭してひたすら掘り続けた作者の
悲哀が・・・といったら深堀りしすぎでしょうか。

 
そして、朝鮮の「李朝工芸」となると、いたってシンプル。
 
黒漆の上に螺鈿模様が「割貝」という技法で敷き詰められた
箱の数々は、意外にも「色」が無いのでした。

 
衣装や裁縫道具などを入れていたらしく
生活の一端が見えてくるようです。

 
蓮華と唐草が螺鈿で全体に装飾された箱は
この美術館を作られた岩崎小彌太氏が
文房具箱として熱海別邸で使っていらっしゃったと
いうのですからなんとも羨ましい限りです。

 
他にも、信長、秀吉、家康に伝来した名物茶入れが
実は、漆で完璧に繕われ、家康公が絶賛していたとか

 
世界で三つしかない国宝の曜変天目茶碗と
それを載せるための唐物の天目台とか
見どころ満載です。

 
おかげさまにて、本日は、心ゆくまでたっぷりと
名品の数々を堪能できた一日となりました。

 
そしてこの美術館のロケーションがまた素晴らしい!
 
晩秋の色づいた木々の林に囲まれ、東京ではないどこか遠くへ
旅をしに来たような感覚に捉われます。

 
自分の家から1時間程で、これだけの美の世界と自然の豊かさを
味わえるなんて!

 
お勧めです。
 
お時間のある方はぜひどうぞ。
 
静嘉堂文庫美術館
「漆芸名品展」
12月11日(日)まで
田園都市線二子玉川駅よりバスで15分










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8月の企画展のお知らせです。
蕎麦日和 

〜おそばと愉しむ器展〜


 
2016年・晩夏。

 
いつもの自宅ギャラリーを飛び出して
企画展を行います。


 
場所は小松庵総本家。

 
大正11年創業の江戸蕎麦の老舗です。

 
駒込・六義園の緑を借景にした
モダンな新店舗に移転したのは2年前。


 
実は、ここにもう一つ、知る人ぞ知る密かな
空間があるのです。


 
その名も、「蕎学洞」。

 
読んで字のごとく、都会に密かに息づいている
「洞窟」です。


 
ここを舞台に、
「おそばと愉しむ器展」を開催します。

 
そば猪口、豆皿、酒器、一輪挿し・・。
夏の名残を惜しみつつ
秋の風情をこの手に。。。


 

日時:8月31日(水)〜9月4日(日)
   11時から19時


 
場所:小松庵総本家駒込本店・蕎学洞
   豊島区駒込1-43-16
   TEL : 03-3944-8385
      東京メトロ南北線駒込駅2番出口すぐ。
      JR山手線駒込駅より徒歩3分

     
企画:ギャラリーKAI


 
出品作家:

 
陶・柚木寿雄
磁・高橋朋子
漆:辻徹


 
特集ページはこちらから
http://gallerykai.com/?page_id=774


 
DMご希望の方は、メールにてご連絡ください。
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あと一日!
「穴のある彫刻」展もいよいよ大詰め、残すところ明日の1日となりました。
鈴木さんが先週生けてくださった花もさすがにクタッとなってしまったり
葉が散ってしまったりで、やむなく花を撤去するものも出てきましたが
な〜んとなく、寂しいので、今日は目白の「花よろず」さんで数種類
調達して生けちゃいました。




椿。本田さんの彫刻は茶花ともしっくりきますね。
本日めでたく貰われていく先が決まりました♪



こちらは、前から気になっていた彫刻。「百日紅」です。
「百日紅」の断面など初めて見ました。とてもきれいな年輪模様が出ています。
手前にも穴が開いていますのでこれをぐるっと縦にしたときも生けられます。
しかも、背に小さい穴が開けてありますので壁にかけられるようになっています。すばらしい。

この実ものは・・・うっ、今朝慌てていたので花よろずさんに花の名を聞き損ねてしまいました。なんだかクリスマスの気分ですね。松毬とか・・・いろいろなものを置きたくなってきました。
しかし・・・バームクーヘンかロールケーキに見えて仕方ないのは私だけでしょうか。美味しそうぅ。。。



実もそうだけれど・・・葉っぱのあまりの可愛さに花よろずさんでも
釘付けになってしまった。




木に花を生ける・・・という新しい世界を体験をさせてくださった本田晴彦さんに感謝!感謝!です。
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「穴のある彫刻」展のページ作りました
本田晴彦さんの個展の様子をこちらでご紹介しております。
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木の彫刻と生け花の世にも稀なコラボレーション!


・・・が、完成しました!
あまりに素敵で今でもちょっとボ〜ッとしています。

そう、明日から始まる木彫作家・本田晴彦さんの個展のテーマは
「穴のあいた彫刻」。

今日のお昼過ぎに本田さん、納品です。



KAIでの展示会が決まった時、現代アートの分野で活動をしてこられた
本田さんとKAIの接点を模索していた時に出てきたのが「花を活ける」ことでした。

様々な種類の木の枝に穿たれた大・小の穴。
向こう側を見透かすことができる穴に光が当たると独特の陰影が生まれます。
このまま自分の部屋の一角に置いてみるとたちまち空気が一変する醍醐味を味わえる・・。
カッコいいのにあたたかい。
古来から日本人が持っている木への畏敬の念が自分の内で目覚めてゆくのが
分かるのです。




さて、この穴に試験管のようなガラスの筒を挿入して水を張れるようにしたら花器になる・・・というのが今回の展示の面白いところです。

そこで、フラワーアーチスト・鈴木瑠美子さんに活けこみをお願いしました。



準備してくださったお花の一部です。




アレンジ中の鈴木さん。



これは、百日紅の木。
手前の上に空けられた穴の深さは4cmくらい。




本田さんが七つ道具を取り出してたちまち筒をカット。




秋らしい質感のアレンジとなりました。
百日紅の木肌の質感と菊と葉の質感に統一感があるのは
流石としかいいようがありませんね〜。

以下、一部をご紹介します。





「黒鳥」という名前のついたダリア。




DMの写真に使ったものと同じ彫刻です。
活ける花でこんなにも世界が違うなんて!!

木と花の絶妙なコラボレーションを一人でも多くの方に味わってほしいですね〜。
そんなわけで、ぜひぜひ今週の土・日に観にいらしてくださると
嬉しいです。

本田さんは、15日は一日在廊、16日は夕方からいらっしゃいます。

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テーブル・ウェアフェスティバル
先日、東京ドームで開かれている「テーブルウェア・フェスティバル」
に行ってまいりました。今年で15周年ということで、今や2月の風物詩になりつつありますね〜。

展示は、テーブルセッティングによる食空間の演出に始まり、和洋食器・漆・ガラス・布・木・食卓周りの小物、骨董・アンティーク・ワイン・お茶などなど、特別展示のものから、全国から集まってきたギャラリーやお店、作り手などが展示販売をする160以上ものブースに至るまで
とても1日では廻りきれないほどのヴォリュームです。

いつものことながら、今年は、軽く流すぞと思いつつ、いざ、
会場に足を踏み入れると、ドツボにはまるパターンでございます。
毎年、目につくものが微妙に違うのですが、今年は竹製品や漆のプレートにかなり心惹かれたなあ。
お弁当箱とか・・掛け花とか・・。
いまだに私の心の中には妄想が渦巻いております。

さて、毎年、特別ブースが設けられる「瀬戸織部」のコーナーには
宮地生成さんの作品もありました。




やっぱり・・・土鍋でしょ!


奥様の香さんとも、すれ違いつつ、やっとお会いできて良かった、良かった。

私が好きな津軽の「金山焼」では一輪挿しを購入したら、おまけに青森りんごが付いてきて嬉しかった。

こちらは、ブースNO.142の北欧紅茶の専門店。スウェーデン王室御用達の紅茶を扱っています。





実は、いつもお料理教室でお世話になっているサロン・ド・シュガーのあざみさんがご愛用の紅茶で、去る去年の11月のお茶会でも使われたとか。
昨日はあざみさんもお手伝いにお見えになっていました。

私は、お花とフルーツをたっぷりブレンドした「セーデルブレンド」と、キーマン主体の「サー・ジョンスペシャル」を購入。どちらも大層香りが良く、ぞくぞくっとエキゾチズムをそそられる感じで戴くのが楽しみ。いらした方はぜひ、お立ち寄りになってみてくださいね。

さて、家に帰ってから、

おっ!?

右手のひとさし指が硬直して全く動かなくなってしまった!気が付かないうちにかなり荷物の負荷がかかっていたらしく、数日間腫れたままでした。

皆さん、くれぐれも重い荷物には気をつけましょう。


テーブルウェア・フェスティバル2007
2007.2.3 〜 2.12
10:00〜19:00(入場は閉場の1時間前まで)
東京ドーム
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和敬塾にて
今日は、KAIに程近い和敬塾で行われていた「バ・ロックな3つの
展覧会」に行ってまいりました。

「古楽器展示」
 チェンバロ、フォルテピアノ等が展示。時間によっては、実演も。

「夏色リズム」
 地元のアンティーク着物ショップ「LUNCO」さんによる大正・昭和初期の 
 流れやリズムをイメージさせる着物を展示。

「月夜の森」高橋宣之写真展
 雑誌「銀花」の企画で、2006年夏号に掲載されました。


チェンバロといえば、そう、武田さんが「音の小鉢」に描いて下さった楽器。
この眼で見る事のできる良い機会と楽しみにしてました。




実際に鍵盤に触れることも出来たのが、嬉しいサプライズ!
恐れおおくて、かろうじて、2つ音を出してみた。
指の先から伝わってくる音のバイブレーション。まさにバ・ロックな響き。
バッハの曲をピアノで練習していた時、重層的な音の進行にどんな他の華やいだ曲よりも好きな時期がありましたが、チェンバロで弾いたら・・・
さぞや、素晴らしいに違いありません!




「夏色リズム」は、和敬塾の古い洋館とアールヌーボー調の着物との
取り合わせが面白い。各部屋に色のテーマが決めてあり、アースカラー、ブルー、赤などの生地と大胆な絵柄、透け感が涼しげな着物が小物と一緒に展示してあります。
昔の日本人の方が心に余裕があったのではと思わせるほどのお洒落さんぶり。

「月夜の森」の写真展では、夜露に宿った月の映像など、驚くべき作品が多くありました。
月の閃きを見て、闇夜の底深さを想う・・。日本人の感性として、太古から幾久しく受け継がれてきたものを見た気がしました。

というわけで、今日はお店を開ける前、静かなひとときを過ごすことが出来ました。

では、和敬塾の風景を少しご紹介しますね。























| gallerykai | 展覧会 | 22:52 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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「大いなる遺産 美の伝統展」
今日は、池袋で所用を済ませた後、一路新橋へ。
目指すは、東京美術倶楽部で行われている「大いなる遺産・日本美の伝統展」。
昨日テレビの「新日曜美術館」での特集を観たら、たちまちこの眼で観たくなって、急遽予定を変更して走ってしまったのでした。



展示の題名通り、近代の錚々たる作家の「大いなる遺産」が一同に介し、それはもう日本画から油絵、工芸品、朝鮮を含めた骨董、そして最後には国宝ばかりを集めた部屋でエンディングを飾るという、大変見ごたえのある展示でした。人によったら踊りだしたくなるかも!?
私ですら、この人の絵もある、えーっ!この人の漆も!すごーい!なんていう具合でしたからね〜。
つい先週観にいった須田国太郎さんの絵もありました。
これだけの分野の作品を一度に観る機会はそうそう無いと思うので、
貴重な展示だと思います。

それに、各作品に「解説」が皆無であったのも良かったと思います。
まっすぐに作品と向き合えるといいますか・・。
自分はこの作品に対してどう感じているのかなと自分自身に問うてみることがあります。それは、言ってみれば果敢に自己との対話を試みていることだと思うのですが、脇に解説文があると、その対話が中断しちゃう。
ついつい視線が文字を追ってしまうのですね。
知識として情報が欲しいのであれば、カタログを買えば良いわけですもん。
作品と対峙している貴重な時間はそれのみに費やすのが良いのです。
な〜んてわかってはいるのだが、気の弱い私は義務感にかられてついつい慌てて字面を追ったりするものでした。
が、今日のような展示方法は、私にとっては有難いものでした。
(今回のカタログは2冊組みで2500円。いいです。でもすご〜く重くて
  その後も予定があった私は、買う勇気が出なかった。情けな〜い!)

こんなそんなで、展示方法にも助けられ、多くの素晴らしい作品群と貴重な
時間を共有できたのは、とても幸せなことでした。

美しく軸装された日本画の、驚くほどの完全なるバランスに改めて日本人のセンスの良さに脱帽。
何層にも塗りこめられた油絵からは、その作家の身を削った精神の
軌跡が伝わってくるような気がして、ちょっといたたまれなかったり。
朝鮮骨董の滴るような青磁の肌とかたちを眺めるにつけ、異国の先人たちの美意識に頭が下がるような思い。

これだけの作品が、数奇なる運命を辿りながらも、こうして今、眼にすることができることに感謝!

美術商の百年「大いなる遺産 美の伝統展」東京美術倶楽部
2/5〜2/26まで。
| gallerykai | 展覧会 | 22:39 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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